事務所移転時に必要な手続きとは?
注意すべきポイントも併せて解説
この記事では「事務所移転で必要な手続きを知りたい」「事務所移転における手続きでの注意点を知りたい」という方に向けて、企業内で移転が起こる際に必要な手続きや注意点について紹介します。
事務所移転の流れ
事務所の移転に伴う手続きを知るには、まず移転する際の流れについて把握しておく必要があります。 事務所移転の際の主な流れは以下の通りです。
1.【移転の6か月前】
一般的に事務所の移転は6か月ほど前から始めると、余裕をもって進められるとされています。 移転6か月前に行う主な内容は以下の3点です。
●移転方針の確定とスケジュールの策定
●旧事務所の契約解除手続き
●新事務所の候補地の選定
事務所が賃貸の場合、一般的に6カ月ほど前から解約の手続きをしなければいけません。契約解除のタイミングが遅れてしまうと余分に支払いが必要になってしまうため、必ず契約解除の手続きを早めに行いましょう。
2.【移転の4~5か月前】
移転の4~5か月前に行うべきことは主に以下の3点です。
●事務所のデザインやレイアウトの構想
●新事務所に必要な家具や備品の選定
●関連業者の手配
移転先の事務所の規模にもよりますが、レイアウトの変更や設備を整えるためにはかなりの時間を要するため、前もって進めておきましょう。特にレイアウトは1度決まったとしても後から変更を検討するケースが多いため、余裕をもって進めておくことをおすすめします。
3.【移転の2~3か月前】
移転の2~3か月前に行うべきことは主に以下の3点です。
●取引先、得意先への移転の通知(場合によっては疎遠になっていた得意先にも通知)
●銀行や関係機関への住所変更手続き
●社内向け説明会の実施
取引先や得意先の場合、双方で郵送物等が発生するため、移転直前になってしまっては先方に迷惑をかけてしまう可能性があります。
また、従業員も引越しに伴って通勤距離が伸びてしまう可能性があるため、余裕をもって通達しておきましょう。
4.【移転の1か月前】
移転の1か月前に行うべきことは主に以下の2つです。
●ウェブサイトなどの住所の更新
●荷造り
移転1か月前はある程度の準備を完了させておき、荷造りをするだけの状態にしておきましょう。また、ウェブサイトの住所変更は早く対応してしまうことで郵送物等が新事務所に届いてしまう可能性があるため、移転直前の変更がおすすめです。
本章では事務所移転の流れを解説しましたが、次章からは必要な手続きを入居中の事務所と新しい事務所に分けて紹介します。
事務所移転に必要な手続き(入居中の事務所関連)
まずは事務所の移転に際して必要な手続きについてです。
本来対応すべき手続きの対応が漏れてしまうと後々にトラブルに繋がりかねないため、事前にどのような手続きが必要なのか確認しておきましょう。
事務所の解約
移転をする際には物件の貸主に対して「解約通知」を行う必要があります。一般的には解約の6か月前までに通知しなければいけませんが、契約内容によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
ガス・電気・インターネット回線の手続き
移転をする際はガスや電気、インターネットなどのライフラインの解約手続きも必要です。 契約会社に連絡していつまで現在地でのライフラインを使用するのか決めたうえで、移転先の住所を伝えましょう。契約会社によっては移転先でも同様の業者で継続が可能です。
また、ライフラインの解約手続きには立ち合いが必要になるため、前もって日程調整をしておきましょう。
事務所移転に必要な手続き(新しい事務所関連)
次に移転先関連で必要な手続きです。以下の対応事を確認しておきましょう。
銀行口座とクレジットカードの登録変更
事務所移転では企業用の銀行口座やクレジットカードの登録変更が必要であり、手続きには発行から6か月以内の履歴事項証明書の原本や届出印、通帳が必要です。
保険の手続き
移転の際は契約している保険全ての変更手続きが必要となり、主な保険は以下の通りです。
●社会保険
●労働保険
●健康保険
●雇用保険
●厚生年金保険
保険関連の手続きが漏れてしまうと従業員にも大きな影響を与えてしまうため、漏れのないように手続きを済ませましょう。
ここまで事務所移転に必要な手続きを入居中の事務所と新しい事務所に分けて解説しましたが、次章では各機関別に必要な手続きを紹介します。
事務所移転時に必要な各機関への手続き
事務所移転の際は内容によってさまざまな機関への手続きが必要であり、主な機関は以下の通りです。
法務局
会社設立時には社名や住所、代表者氏名、資本金の額などを登記簿に記載する「設立登記」を行いますが、事務所移転の際は登記情報の更新が必要です。移転時に行う登記の住所変更手続きを「本店移転登記」と呼びます。
本店移転登記は、移転後2週間以内に法務局に申請しなくてはならないと法律で定められており、本店移転登記申請書、株主総会議事録(定款を変更する場合)、取締役会議事録、印鑑届出書(管轄法務局が変わる場合)、印鑑カード交付申請書(管轄法務局が変わる場合)が必要です。
税務署
事務所移転の際は税務署に「異動届出書」と「給与支払事務所等の届出」の提出が必要です。異動届出書は提出期限が定められていませんが、早めの提出が望ましいです。対して給与支払事務所等の届出は移転してから1か月以内に提出しなければいけません。
労働基準監督署
労働者を雇用する事業所が住所変更をする場合、労働基準管区書での届出が義務付けられており、新しい事務所を管轄するにあたって安全管理者を選び、労働基準監督署への申請も必要です。
その際所在地に変更のあった日の翌日から10日以内に労働保険名称・所在地等変更届の提出を行います。
都道府県税事務所
税務署での手続きは国税分であり、都道府県税事務所で地方税の手続きも必要です。
都道府県税事務所への住所変更手続きは自治体により異なるため、各ホームページで変更に必要な書類を確認してダウンロードしましょう。
年金事務所
年金事務所では厚生年金の手続きが必要であり、「協会けんぽ」に加入している場合は健康保険の手続きも必要です。
手続き方法は現在の事務所と移転先の事務所が同一の管轄内であるかによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
ハローワーク
労働保険には「一元適用」と「二元適用」があります。
一元適用は労災保険料と雇用保険料の計算方式が同じであり、一般的な業種が該当します。対して二元適用は労災保険料と雇用保険料で計算方式が異なり、建設業や農林畜産業などが対象です。
一元適用事業所の場合は、労働基準監督署に提出した労働保険名称所在地等変更届の控えと共に「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。
二元適用事業所の場合は、労災保険の手続きは労働基準監督署へ「労働保険名称、所在地等変更届」を、雇用保険の手続きはハローワークへは「労働保険名称、所在地等変更届」及び「雇用保険事業主事業所各種変更届」の提出が必要です。
警察署
警察署では社用車となる車の車庫証明の住所変更手続きが必要です。
手続きの際には「保管場所証明申請書」「保管場所標章交付申請書」「保管場所の所在図・配置図」「保管場所の使用権限を証明する書類」「使用の本拠の位置が確認できるもの」が必要となるため、事前に準備しておきましょう。
消防署
消防署へ主な提出書類は「防火対象物使用開始届出書」と「防火対象物工事等計画届出書」です。移転の7日前までに防災関連の届出を行う必要があります。
郵便局
取引先や得意先からの郵送物が現住所に届かないために、郵便局では転居届や郵便物届出変更届の提出が必要です。
昨今ではインターネット上で簡単に手続きできますが、反映まで1週間ほどかかってしまうため、移転の1週間前には手続きを完了させておきましょう。
本章では機関ごとに必要な手続きを解説しましたが、事務所を移転する際にはどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。次章で注意点を紹介します。
事務所を移転する際に注意すべきポイント
事務所を移転する際にはいくつか注意すべきポイントがあり、主な注意点は以下の4つです。
新しい事務所の内装工事
1からレイアウトや設備を整えるスケルトン状態のテナントに移転する場合は、内装業者と工事スケジュールを打ち合わせして、移転日までには工事が完了しておくようにしましょう。 万が一工事でトラブルが起こった場合、業務に支障が出かねないため、綿密な打ち合わせが必要です。
書類の整理
移転時にはさまざまな荷物が混ざってしまい、大切な書類を紛失しかねません。中には取引先や得意先の情報、社内の機密情報が記載されているものもあるため、書類の紛失はNGです。
事前に必要書類を整理したうえでファイリングしておき、書類が紛失しないようにしましょう。
荷造り
日々の業務で常に使用するパソコンや社用携帯などを除き、使用頻度が少ない荷物や滅多に使用しない荷物は早めに荷造りをして段ボールに詰めておきましょう。
配送業者・引越し業者の手配
希望日で荷物を運び出したい場合は早めに手配しなければいけません。
特に引越しや事務所移転が頻繁に行われる3月、4月や8月、9月は、早めに手配しても希望日にできるとは限らないため注意しましょう。
事務所移転の物件探しはZEUS INBEST
事務所移転をする際にはまず次の移転先として物件探しから始まりますが、簡単に希望する物件が見つかるとは限りません。
また、手続きだけ進めても希望の物件が見つからなければトラブルに繋がってしまいます。
移転先として希望する物件を見つけたい場合は専門のノウハウを保有する不動産会社に相談することが重要です。
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