不動産査定とは?
方法や流れ、ポイントを解説

2024.10.10
不動産の売却は大きなお金が動くため、少しでも有利な条件で売りたいものです。不動産の売却価格を決めるうえで重要になるのが不動産査定であり、築年数や建物の状態、立地などによって査定額は大きく変わってきます。
本記事では、不動産査定の概要や価格の算出方法、査定の流れ、査定額を上げるポイントなどを解説します。不動産売却を検討している方や、不動産査定について詳しく知りたい方はぜひ最後までお読みください。

不動産査定とは

不動産査定とは、不動産の推定市場価値を客観的に評価し、価格を算出することです
これから売ろうとしている不動産(土地や建物、マンションやアパート、オフィスや倉庫など)にどのくらいの価値があるのか、自分で正確に調べることはできません。そこで不動産会社に依頼し、いくらぐらいで売ることができそうか価格を算定してもらいます。

不動産査定で算出される価格はあくまでも推定の売却価格であるため、確実にその価格で売れるとは限りませんが、売り出す際の価格設定の基準となります。売り出し価格が安すぎると期待する利益を得られず、逆に高すぎると思うように売却が進まないため、不動産査定によって適正な価格を知ることが重要です。

なお、査定そのものには基本的に料金はかかりません。

不動産査定の種類

不動産査定には以下の2つの種類があります。

簡易査定

机上査定とも呼ばれ、申込者の提供したデータや不動産会社が保有する基本情報を使い、担当者が物件のおおまかな査定を行います。基本情報としては、当該エリア周辺の類似物件の売買記録や相場の価格帯、不動産公示地価、物件の間取り、築年数などを参考にします。

後述の訪問調査に比べ労力がかからず短期間(およそ数日以内)で終わること、簡易的ではあるものの単にコンピュータでシミュレーションするよりは高い精度で査定できることがメリットです。

一方で、物件を実際に見ないため、訪問査定に比べると精度は劣ります。
売却を検討し始めた段階で概算価格を知りたいときや、複数の不動産会社から幅広く査定を受けたいときなどに適しています。

訪問査定

不動産会社が実際に物件を訪問し、現地調査を行うことで査定する方法です。
物件の状態や周辺環境を直接確認するため、より詳細な査定ができ、簡易査定よりも正確な価格を知ることができます。例えば、物件の基本情報に加え、周辺環境、道路状況、室内の保守状況や外壁の劣化具合などを加味した査定が可能です。

ただし、調査自体は1時間程度で終わるものの、調査結果が出るまでには1週間程度の期間を要します。売却に関して担当者に相談したい場合や、すでに売却の意思が固まっている場合に適しています。

不動産価格の算出方法

不動産価格を算出する際には、以下の3つ方法のうちいずれかを用います。

取引事例比較法

売却する不動産と条件が似ている不動産の過去の取引事例をもとに価格を求める手法です。
例えば、売りたい不動産と似た取引事例が3つあり、それぞれの平均取引単価が以下だったとします。

物件A:2,000万円
物件B:2,300万円
物件C:2,060万円

この場合、平均取引単価は2,120万円です。
ここから、売りたい物件が持つ個別事情(室内状況、駅からの距離、周辺環境など)を加味して価格を調整していきます。

取引事例比較法は実際の市場取引を反映した価格を算出できる点がメリットであり、土地やマンションの評価に特に適しています。類似の取引事例が豊富にある場合に有効です。

原価法

売却する不動産を取り壊して、再度建築した場合に必要となるコストをもとに価格を求める手法です。再調達原価(現在の建築費の相場)を求め、そこから築年数を踏まえどのくらい減価したかを加味して算出します。

原価法による査定の計算式は以下の通りです。

原価法による査定額 = 再調達価格 × 延べ床面積 × 減価修正(残耐用年数÷耐用年数)

例えば、再調達価格が坪20万円、面積が30坪、築年数が12年の木造住宅(耐用年数:築22年)の場合、査定額は次のように求められます。

20 × 30 × (22-12) ÷ 22 = 約273万円

なお、木造住宅の耐用年数は22年のため、築22年以上が経過した物件の価格は、この計算式で求めるとゼロとなります。

収益還元法

売却する不動産が将来生み出すであろう利益を、現在価値に換算して価格を求める手法です。居住用ではなく、投資用の物件としてどのくらいの利益を生み出すかという観点から計算します。そのため、投資用のマンションやアパートのような不動産価格の算定に適しています。

収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)」の2つの計算法があります。
直接還元法は、1年間の純収益を還元利回りで割って求める計算法であり、DCF法は複数年の収益を現在価値に割り引いて求める計算法です。

以上の3つの算出方法をまとめると、取引事例比較法は市場実勢を反映し、原価法は再調達原価を基準とし、収益還元法は将来の収益を重視する方法だといえます。

ここまで不動産査定の概要や価格の算出方法を解説しましたが、実際に不動産査定を行う際はどのように進めるのでしょうか。次章からは、必要な書類や流れを紹介します。

不動産査定に必要な書類

簡易査定の場合は書類がなくても問題ありませんが、訪問査定の場合は以下の書類を用意しておく必要があります。

・身分証明書:
運転免許証や保険証など、本人であることを確認するための書類です。

・登記識別情報(権利書):
不動産の所有者であることを証明する公的な情報です。不動産登記を行うと発行されます。

・登記簿謄本:
不動産の権利関係や所有者情報を記載した公的書類です。土地や建物の所在地、所有者、面積などの情報が載っています。

・境界(筆界)確認書:
隣接する土地所有者との間で境界線を確認した書類です。土地の正確な範囲を示すとともに、土地の境界について合意が取れていることを明示する意味で重要です。

・固定資産税評価証明書:
不動産の公的評価額を示す書類です。固定資産の所有者や所在、地目・地積(土地の場合)、種類・構造・床面積(家屋の場合)、固定資産評価額などが記載されています。

・その他・購入時の各種書類など:
売買契約書や重要事項説明書など、不動産の取得状況や取得の経緯を示す書類が必要な場合もあります。

不動産査定の流れ

不動産の訪問査定は、以下の流れで行います。

①査定を依頼する

地元の不動産会社に直接連絡するか、不動産査定サイトを利用して不動産会社に訪問査定を依頼します。査定を実施するにあたっては、スムーズに進められるように物件の所在地や築年数、建物の種類・面積、近隣環境、リフォームの有無といった情報をあらかじめ整理しておくと良いでしょう。

依頼後には、不動産会社と訪問査定の日程調整を行います。調査実施前には、物件の清掃や整理を行い、詳細な査定が可能な状態にしておくことが望ましいです。

②査定の実施

不動産会社の担当者が指定された日時に物件を訪問し、査定を実施します。
訪問査定では、物件の内外の状態や隣接する土地との境界線、土地の形状、地勢、接道状況などを調査します。物件や売却に関する要望・条件について担当者と直接話せるので、疑問点があれば尋ねて解消しておきましょう。

③査定結果を受け取る

通常、訪問査定後7~14日ほどで査定結果を受領できます。
不動産会社から査定結果の詳細な説明を受けられるので、このタイミングで周辺相場や物件の特徴を踏まえた価格設定の理由を聞いておくことがおすすめです。価格設定の根拠や価格に疑問があれば、必要に応じて複数の不動産会社から査定してもらい、比較するのも1つの手です。
また、売却を進める場合の具体的な手順や必要書類についても確認しておきましょう。

このような流れで行う不動産査定ですが、査定額を上げるためには、どのような観点で査定されるのかや押さえておくべきポイントを知っておくことが重要です。次章以降では査定時のチェックポイントや査定額を上げるコツを解説します。

不動産査定のチェックポイント

不動産査定時にチェックされる主なポイントとしては以下のものがあります。

築年数

築年数は、不動産の価値を大きく左右する要素であり、客観的なデータとして重視されます。
例えば原価法で算出する際、木造戸建ての場合、築10年で価値が約半分に減少してしまいます。一方で、アパートやマンションの場合は耐用年数が長い鉄筋コンクリート造りが多いため、木造に比べると価値が下落しにくい特徴があります。

建物の状態

外観や内部の設備の状態が評価されます。具体的には、外壁の劣化状況や屋根の状態、内装の手入れ具合、設備のリフォーム状況などが確認されます。
定期的なメンテナンスやリフォームを実施していると、プラスの評価となりやすいです。

土地や立地の条件

土地や立地条件も、不動産の価値を決める重要な要素です。土地の広さや形状、立地や周辺環境が評価されます。
具体的には、最寄り駅からの距離、周辺の環境、日当たり、道路との接道状況などが主なチェックポイントです。例えば接道状況については、二方路地(建物の前面と背面の両方が道路に面している)や角地だと評価が高まりやすくなります。
建物自体の状態が同じでも、立地によって評価額は大きく変わります。

不動産査定額を上げるコツ

不動産の査定額を上げるためには、以下のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。

専門の不動産会社を選ぶ

売却したい不動産を専門に扱っている会社や、物件の所在する地域に詳しい会社などに査定をお願いする方が、査定額が高くなる傾向にあります。そうした会社であれば、対象物件の市場動向や買主のニーズを的確に把握している可能性や、物件の魅力を最大限に引き出す提案をしてくれる可能性が高いからです。

選び方としては、対象エリアでの取引実績が豊富か、類似物件の売却に成功した経験があるか、といった点を確認しておくと良いでしょう。

不動産の状態をきれいに保つ

不動産査定に影響するポイントの中でも、建物の状態は努力して改善することが可能です。以下のような対応をしておくと、物件の評価を上げることができます。

・きれいに掃除しておく(床の拭き掃除や水回りの掃除など)
・外観をきれいにする(外壁の汚れを定期的に落とす、庭や植栽の手入れを怠らないなど)
・雨漏りを修繕しておく
・シロアリ被害がないか確認しておく など

特に、掃除は日頃から定期的に行っておくと良い状態を保ちやすくなります。

法人の不動産査定ならZEUS INBEST

不動産査定額は実施する会社によって異なることも珍しくありません。査定額を上げて良い条件で売却するためには、日ごろのメンテナンスを怠らず、物件や土地に詳しく実績のある会社を選ぶことが大切です。

「ZEUS INBEST」は、建設ベースの不動産ならではのノウハウをもとに、確実な不動産売却と高価売却をサポート可能なサービスです。工場や倉庫の取り扱いに強みを持ち、物件を確実に売却するためのサポートをいたします。

また、総合建設業として長年実績を積み重ねてきており、大手企業を中心に多くの買い手顧客を保有しています。売却前の物件に利便性・機能性などの付加価値を付けることで、物件価値を向上させることも可能です。

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このコラムを書いたライター

編集者
正和工業マーケティングチーム
正和工業は、20,000件以上の施工実績を持つ総合建築企業です。
培った技術力・ノウハウを活かし、不動産仲介サービス「ZEUS INBEST」を通して物件に関する情報提供から管理・リノベーションまでサポートいたします。
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