相続した不動産を売却するには?手続きの流れや必要書類、注意点を解説
本記事では、相続した不動産を売却する際の手続きや必要な書類、売却時の注意点を解説します。
相続不動産の売却をご検討の方はぜひご覧ください。
相続した不動産を売却する際の流れ
相続した不動産を売却する際には、通常の不動産売却とは異なる「相続手続き」が必要です。以下では、相続不動産売却の基本的な流れと、それぞれのステップにおける期限を解説します。
① 相続発生・死亡届の提出
被相続人(故人)の死亡後、まず「死亡届」を市区町村役場へ提出します。
死亡届は、死亡日から7日以内に提出する義務があります。
② 遺言書の確認・相続人の確定
遺言書がある場合は家庭裁判所で「検認」手続きを行います(自筆証書遺言の場合)。
遺言書がない場合は、法定相続人を戸籍で調査し、確定させます。
※この段階に期限はありませんが、売却を急ぐ場合は早めに進めましょう。
③ 相続財産の調査・評価
不動産の価値を把握するため、不動産会社や税理士に査定・評価を依頼し、同時に他の相続財産(預貯金・負債など)も把握します。
※相続放棄や限定承認を検討する場合は、相続開始から3か月以内に家庭裁判所への申述が必要です。3か月を過ぎると自動的に単純承認(すべての財産・負債を相続)したとみなされます。
④ 遺産分割協議
法定相続人全員で「誰が不動産を相続するか」を協議し、遺産分割協議書を作成します。協議書には全員の署名押印が必要です。
※遺産分割協議自体に期限はありませんが、後述の相続登記は3年以内に行う必要があります。
⑤ 相続税の申告・納付
相続税の基礎控除を超える場合、税務署へ申告と納付が必要です。
相続開始後10か月以内が期限です。
⑥ 相続登記
相続人に不動産の名義を変更する「相続登記」を法務局で行います。登記しないと売却できません。
※2024年4月1日以降は、相続発生から3年以内に行うことが義務化されました。
⑦ 不動産売却活動
不動産会社に売却を依頼します。通常の不動産売却と同様に、内見対応・価格交渉を経て売買契約を締結します。
⑧ 売買契約・引き渡し・代金受け取り
売買契約を締結後、登記の移転手続きを行い、残代金の受領と物件引き渡しを行って売却完了となります。
⑨ 譲渡所得税の申告
不動産を売却した利益(譲渡所得)がある場合は、確定申告が必要です。
売却した翌年の確定申告期間内(2月16日〜3月15日)に行います。
相続した不動産の分割方法
相続した不動産を複数人で分割する場合、分割方法には主に3つの方法があります。
・現物分割
相続財産を現物のまま、各相続人に分ける方法です。土地や建物を物理的に区分けして分ける方法のほか、不動産は1人が取得し、他の人は預貯金を取得する分け方もあります。
財産を売却せずにそのまま受け取れますが、物理的に分けにくい場合や、不公平感が生まれやすいデメリットがあります。
・代償分割
不動産を1人の相続人が取得し、その代わりに他の相続人に「代償金」を支払って公平性を保つ方法です。
不動産を売却せずに分割できるメリットがありますが、代償金を支払う相続人に一定の資金力が必要であり、金額の妥当性について相続人の間で合意を取らなければなりません。
・換価分割
不動産を売却して現金化し、その売却代金を相続人で分ける方法です。
公平に分けやすく、現金化により将来的なトラブルを回避しやすいメリットがありますが、売却手続きや税金が発生する点には留意が必要です。また、市場状況によっては希望価格で売れないこともあります。
相続した不動産の売却に必要な書類
相続した不動産の売却に必要な主な書類は以下の通りです。
名義変更に必要な書類
名義変更で必要な書類は、相続の方法によって異なります。
① 遺言による相続
遺言書の内容に従って名義変更を行うケースです。
【必要書類】
・被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
・不動産を相続する人の戸籍謄本
・不動産を相続する人の住民票
・対象不動産の固定資産評価証明書
・遺言書(公正証書遺言 or 自筆証書遺言)
※自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での「検認済証明書」が必要
② 遺産分割による相続
相続人全員で話し合って分け方を決めるケースです。
【必要書類】
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票
・遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印押印・印鑑証明添付)
・対象不動産の固定資産評価証明書
③ 法定相続
民法の定める相続分に従って名義変更するケースです。例えば、相続人が配偶者と子2人なら、1/2、1/4、1/4の共有で登記されます。
【必要書類】
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票
・対象不動産の固定資産評価証明書
加えて、それぞれの相続において、任意で相続関係説明図を添付する場合もあります。
売却に必要な書類
不動産を売却する際に必要な主な書類は、以下の通りです。
【登記関連の書類】
・登記識別情報通知(または登記済証=権利証)
所有権の証明に使用します。再発行不可のため紛失時は別途対応が必要です。
・登記事項証明書(登記簿謄本)
法務局で取得します。現状の所有者や権利関係を確認するために必要です。
・固定資産評価証明書
登録免許税や譲渡所得税の計算に使用します。市区町村で取得します。
【本人確認関連の書類】
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑証明書(実印を使う契約書・委任状に添付)
・実印
【契約・物件関連の書類】
・物件購入時の重要事項説明書
・売買契約書(売却時に作成)
・建築確認済証・検査済証(戸建ての場合)
・建物の図面・間取り図・設備仕様書(あれば有利)
・マンションの管理規約・維持費明細など(分譲マンションの場合)
・境界確認書・測量図(土地の場合、または必要に応じて)
これらは不動産会社や司法書士が代行してくれるケースも多いですが、必要書類がそろっていないと売却手続きが進められないため、早めに準備するようにしましょう。
相続した不動産を売却する際の注意点
相続した不動産を売却する際の注意点としては、以下の7つがあります。
高く売れる不動産会社に依頼する
まず重要なポイントが、「どの不動産会社に売却を依頼するか」です。相場よりも売却価格が安くなってしまわないよう、複数の会社から査定を取り、地域の相場や売却実績を確認しましょう。相続物件の売却に慣れている会社を選ぶことで、税金や手続き面でも安心して進められます。
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できるだけ3年以内に売却を行う
相続から3年以内の売却がひとつの目安になります。その理由は、「相続空き家の3,000万円特別控除」をはじめとする税制上の特例が、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却した場合に適用されるからです。
この特例を活用すれば、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、大幅に税負担を軽減できます。
ただし、相続発生時の売却は期限が決まっているため、買主に足元を見られて安く買い叩かれるリスクも存在します。こうした不利な条件を避けるためにも、売却を見据えた事前整理を検討しておくことが望ましいでしょう。
適用できる税金特例を確認する
不動産の相続・売却においては、各種の税制特例が利用できる場合があります。例えば、次のような制度があります。
・相続空き家の3,000万円特別控除(前述)
・取得費加算の特例(相続税の一部を譲渡所得の取得費に加算可能)
・居住用財産の3,000万円控除
適用条件が細かく設定されているため、事前に専門家に確認することが大切です。
以下の記事では、相続した土地の売却にかかる税金について詳しく解説しています。
内部リンク:相続した土地の売却にかかる税金はいくら?節税対策も解説

共有名義の不動産売却は共有者の同意が必要
相続によって不動産が複数人の共有名義となっている場合、売却するには全共有者の同意が必要です。売却価格はいくらにするかといった判断についても、全員が合意する必要があります。一部の共有者の協力が得られないと売却できないため、事前にしっかり話し合いましょう。
単独登記型による売却は贈与にならないように気を付ける
換価分割を行う際に、不動産の名義を1人にして売却する「単独登記型」を選ぶことがありますが、この場合、他の相続人への分配が不適切だと贈与とみなされ課税されるリスクがあります。
分割協議書を適切に作成し、「換価分割であること」を明記しておくことが重要です。
取得費を確認する
不動産売却時の「譲渡所得」は、売却価格から取得費と諸経費を差し引いて算出されます。相続不動産の場合、被相続人が購入した際の取得費を引き継ぐことになり、購入当時の売買契約書や領収書を探す必要があります。
見つからない場合、概算取得費(売却価格の5%)で計算することになりますが、税負担が大きくなる可能性があるため注意が必要です。
所有期間を確認する
不動産の売却にかかる譲渡所得税は、所有期間により税率が異なります。相続による取得では、被相続人の所有期間を引き継ぐため、長期譲渡所得として扱われるケースが多くなります。具体的には、所有期間が5年を超えると税率が低くなります。
相続した不動産の売却は正和工業のZEUS INBESTにご相談ください
相続した不動産を売却する際には、通常の不動産売却にはない「相続特有のリスク」や「税金上の特例」が多く存在します。手続き・税制・名義の状況を適切に把握し、損をしない売却を実現するには、専門家への相談や事前の情報収集が重要です。
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