不動産価値を高め、倉庫・工場売却を成功させる5つのポイントとは?
売却時の注意点なども解説

2023.12.08
もう使わなくなってしまった工場・倉庫の売却を検討する場合、「本当に売れるのか」、「どのようにしたら売れるのか」不安な方も多いのではないのでしょうか。そこで本記事では、倉庫・工場の売却を成功させるポイントや売却時の注意点をご紹介します。その他、売却時の流れや必要になる書類・税金なども解説していますので、ぜひご参考ください。

倉庫・工場の売却方法

企業が所有する倉庫・工場が不要になり、売却を検討する場合、倉庫・工場を売却する手段としては以下2つの方法があります。

  • 自分で買い手を探し売却する方法
  • 不動産会社に依頼して売却する方法


一般的な不動産の場合には、自分で買い手を探し売却するケースもありますが、倉庫・工場の売却は住宅など実需と比べて需要が少ないため、事業用の取扱いのある不動産会社を経由したほうが売却しやすくなります

倉庫・工場を売却する一般的な流れ

では、倉庫・工場を売却する場合、どのような流れを踏むのでしょうか。倉庫・工場の売却を不動産会社に依頼した際の一般的な流れをご紹介します。

価格の査定・決定

倉庫・工場を売却するためには、まず不動産会社などに倉庫・工場の査定を依頼し、売却価格を決定する必要があります。
査定にて掲示された金額は、実際に売り出す価格そのものではありません。査定金額を参考にしながら実際の価格を決定します。

査定方法としては、以下2つがあります。

● 机上査定
物件情報を基に似たような倉庫の過去の取引実績から金額を決める

● 訪問査定
実際の倉庫を訪問して金額を決める

媒介契約

査定を参考に売却価格を決定した後、不動産会社に買い手を探してもらう場合は、媒介契約を結ばなければなりません
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つの方法があります。

● 一般媒介契約
1つの不動産会社に絞らず、複数の不動産会社と契約を結ぶ方法です。自分でも買い手を探すことができ、自由な売却活動ができますが、不動産会社による熱心な売却活動はあまり期待できないでしょう。

● 専任媒介契約
1つの専任の不動産会社と契約しながら、自分でも買い手を探すことができる方法です。
他の不動産会社とは契約を結べないものの、買い手が決まれば、不動産会社の確実な利益となるため、熱心な売却活動が期待できます。

● 専属専任媒介契約
他の不動産会社との契約は結べず、かつ自社で買い手を探すこともできない方法です。業者の動きにかなり縛られる一方で、不動産会社から業務の処理状況を1週間に1回以上報告を受けられ、不動産会社による熱心な売却活動も期待できます。

上記の違いの他にも、3つの契約方法それぞれで契約有効期間や、売却活動中の問い合わせ対応、物件案内対応、指定流通機構である「レインズ※1」の登録有無が変わるため、自社の状況にあった契約方法を結ぶことが重要です。

※1)レインズ・・・国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムで、媒体契約によっては宅地建物取引業法により登録義務がある。

売買契約

媒介契約を結び、不動産会社が買い手を見つけた後は売買契約に進みます。 買い手が希望購入価格や支払い方法などの取引条件が記載された買付申込書を受取り、それに合意することで売買契約が締結されます。その際、買い手は売主に対して手付金を支払いますが、手付金の金額は販売価格の5~10%ほどになることが一般的です。

物件の引渡し

売買契約が成立し、手付金が支払われた後は、契約書に記載されている受渡し日までに倉庫・工場の引渡しを行います。 引渡しは、手付金の残りの代金を受け取り、所有権の移転などの登記上で必要な手続きを行うことで完了します。

倉庫・工場売却に必要な書類や税金

ご紹介したような流れで売却を進めるためには、倉庫・工場に必要な書類や税金関係の適切な対応を行う必要があります。そこで以降では、売却に必要な書類や、売却にかかる費用・税金などを解説します。

売却に必要な書類

倉庫・工場の売却において必要な書類は以下の6つです。事前に把握して、準備を行いましょう。

● 登記済権利証または登記識別情報通知書
まずは、売却における所有権の移転登記のための登記済権利証が必要です。2005年以降は、登記済権利証は登記識別情報としてオンラインで管理されています。したがって、現在、倉庫・工場の所有者は登記識別情報通知書を管理しています。

● 登記事項証明書(登記簿謄本)
倉庫・工場の所有者の氏名や住所、不動産の情報などが記載されている書類です。一般的に不動産の所有権利を正しく把握するための書類であるため、査定の段階から取得しておくことが重要です。

● 14条地図または公図
14条地図とは、倉庫・工場の土地がどのような形状なのか、どのような位置に存在しているのかを示した地図のことです。
場合によっては発行されていないケースもあるため、「地図に準ずる図面」として土地の形状や地番などを図で表した公図が法務局によっては発行されています。

● 建築確認済証と検査済証
建築確認済証と検査済証とは、倉庫や工場が違法物件でないことを証明するために必要となる書類です。これらの書類は管轄の行政機関で取得することが可能です。

● 敷地の確定測量図
確定測量図とは、隣地所有者が敷地の境界について同意していることを証明する書類です。この書類があることで、境界に関する不祥事を防ぐことができるため、買い手が本書類の提出を必須条件としている場合があります。

● 固定資産税納税通知書
固定資産税の納付状況の確認に使用される書類です。一般的に不動産の所有者に郵送にて発行されます。その他、買主との固定資産税の精算や、不動産の移転登記における登録免許税においても必要となる重要な書類です。

売却にかかる費用や税金

工場・倉庫の売却にかかる費用としては、以下の2つがあります。

● 登記報酬費用
登記を抹消する際に必要となる司法書士に支払う費用で、一般的に1~5万円かかります。

● 仲介手数料
売却を不動産会社に依頼した場合にかかる仲介手数料です。
仲介手数料は法律によって上限額が決められており、不動産会社によって大きな差が生じることは少ない費用です。

 【仲介手数料の上限額】

この他、倉庫・工場の状況や買い手側からの要望があった場合には、解体費用や、測量費などもかかるケースがあるので注意が必要です。

● 譲渡所得税
上記費用の他に税金もかかってきます。その代表例が売却に伴う利益に対してかかる譲渡所得税です。
販売価格から「物件取得時にかかった費用」、「譲渡にかかった費用」、「特別控除額」の3つの費用を抜いて算出されます。

● 印紙税 
売却金額に応じて、以下表の印紙税を納税する必要があります。
不動産会社に依頼をする場合は、一般的に印紙自体は不動産会社が対応してくれます。

 【かかる印紙代金】

出典:「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」(国税庁)を加工して作成

● 登録免許税
登録免許税とは、売主が持つ所有権を買い手に移転させる費用を指します。
(不動産の数×1,000円)が費用で、一般的には司法書士へ支払い、代理で移転登記を進めてもらいます。

これら税金にかかる手続きは手間がかかりやすいため、事前に必要な手続きは不動産会社に確認しておくことが重要です。確認されたい方はぜひ以下フォームからご相談ください。

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倉庫・工場の売却時に知っておくべき注意点

倉庫・工場の売却は、一般的な不動産の売却と比べてさまざまな違いがあります。以降では、倉庫売却時に知っておきたい注意点をご紹介します。

売却には時間がかかる

倉庫・工場の需要は一般的な不動産と比べて低い傾向にあり、買い手が限られています。そのため、売却に時間がかかるケースが多いのが現状です。 

このように、倉庫・工場の売却には時間がかかることが多いため、売却に乗り出す際は、売れ残りを想定したスケジュールを立てることが重要です。

売却後も固定資産税が請求されるケースがある

倉庫・工場の売却後には、固定資産税がかからないと思われる方が多いですが、売却した時期によっては請求されるケースがあります
具体的に固定資産税は、1月1日の時点に物件を所有している方に納税義務があるため、売却したとしても1月1日に所有していた年度は、固定資産税の支払い義務が発生します。

このように固定資産税が売り手にかかるのか、買い手にかかるのかは、売買契約時に取り決めを行い、譲渡した日から、日割り計算をして売り手と買い手双方で負担するのがおすすめです。

解体して売却したほうがいいケースがある

先述したように、倉庫・工場は売れるまでに時間を要することが多いですが、その土地自体に高い価値がつき売却が早く進む可能性があります。そのため、最終的には倉庫・工場を解体して土地のみを売ることも1つの手段です。
解体費用がかかるものの、活用の幅も広いため、立地が良ければ売れる確率も高いです。

購入側が倉庫・工場として使うことができないケースがある

倉庫・工場の売却においては、用途地域も重要な要素です。
例えば、古い倉庫・工場などは区画整理(線引き)前に建てたものも多く、買った側がそのまま使うことが不可能で、現行の用途制限で許可がおりない場合もあります。

自社で売りたい倉庫が、上記の注意点に当てはまるかどうか気になる方は、以下からご相談ください。

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倉庫・工場の売却を成功させるポイント

では、倉庫・工場の売却を成功させるためにはどのようなことに注意すればいいのでしょうか。 売却の成功とは、高く売れること、早く売れること、手間がかからないことなどが挙げられますが、自身の状況に合わせて何を優先するか決めることが重要です。 以降では、売却の成功である早く売るポイントと高く売るポイントをそれぞれ解説します。

早く売るためのポイント

● 専任媒体で囲い込みをする不動産会社を選ばない
専任媒体契約の場合、不動産会社が自社の利益だけを追求して不動産情報を意図的に出さない「囲い込み」をするケースがあります。その場合、売却までに時間がかかったり、好条件で売れるチャンスを逃したりしてしまう可能性が高いです。
そのため、複数の不動産会社に依頼できる一般媒介契約を締結することが、早く売るためには適切です。

● ネット掲載に力を入れて露出回数を増やす
現在、不動産が多くの目に留まるためには、ネット掲載に力を入れることが重要です。ネット掲載に力を入れ、露出回数を増やすことで、早く売ることができます。
また、先ほど、専任媒体契約では囲い込みの影響で売るチャンスを逃してしまう可能性が高く、一般媒介契約の方が適していると説明しましたが、一般媒介契約はレインズの登録義務がないため全国の不動産会社に物件情報を広めることが難しいという側面もあります。

高く売るためのポイント

● 適切なタイミングで売却する
一般的に倉庫・工場の需要が低いといっても、経済状況や地域の需要によって市場状況は変動します。
そのため、市場動向をよく確認しながら、適切なタイミングを見極めることが重要です。
また、自社だけではなく、不動産会社など専門家の意見を参考にし、計画的に売却活動を進めることも成功のポイントです。

● 相場を明確に把握した金額に設定する
倉庫・工場を高く売るためには、相場状況を理解することが重要です。相場よりも売却価格を高く設定しすぎると、買い手が見つからない可能性があり、安すぎても損をしてしまいます。
また、倉庫・工場といった不動産の売却は、値引き交渉が頻繁に行われます。そのため、売買価格は値引き交渉に対応することを想定した金額を設定することがポイントです。

このようなことから、値引き交渉を想定した価格、かつ相場の範囲内の価格設定を行うことが重要です。

● 付加価値をつけて売却する
倉庫・工場を高く売るためには、ただ物件を売り出すだけではなく、物件価値を高めることが必要です。
物件価値を高めるためには、物件の状態を整えることが重要であり、場合によっては売り手側が、改修・リノベーションする選択肢も視野に入れておくと良いでしょう

買い手目線からも、購入後に改修をする必要がないため、条件の良い物件として認識してもらえる可能性も高くなります。

この他にも、早く売る、高く売るための共通のポイントとしては、物件を魅力的に見せる、適切な広告手法・戦略を行うが挙げられます。
具体的には、物件を魅力的に見せるために寳保整備やクリーニングの準備を行ったり、倉庫の魅力的な写真や状況を伝えられる写真を掲載したりすることが重要です。
広告戦略としては、インターネットや不動産専門誌、地域の広告媒体など複数の手法を駆使することが重要です。また、実際に訴求すべき地域を需要の高い倉庫の近所の方や遠方に絞ってPRすることも売却を成功させるためには必要です。

依頼する不動産会社を選ぶ際のポイント

ご紹介したポイントを押さえたとしても、依頼する不動産会社が悪ければ意味がありません。以降では、倉庫・工場を売却する際の不動産会社の選定ポイントをご紹介します。

倉庫・工場に精通している業者を選ぶ

倉庫・工場の売却は、一般的な不動産の売却とは違う点が多いです。そのため、慣れていない不動産会社に依頼してしまった場合、相場よりも安くなってしまったり、買い手が思うように見つからなかったりするケースがあります。ゆえに、倉庫・工場売却に慣れている業者に依頼することが重要です。 具体的に不動産会社を選ぶ際は、倉庫の売却実績があるかを確認することをおすすめします。

複数の不動産会社から査定してもらう

不動産会社の選定で重要となるのが、査定額です。 査定は1社の不動産会社に絞らず、さまざまな会社に査定してもらいながら相場観を理解し、価格を比べながら会社を最終的に選定することが重要です。

倉庫の売却は正和工業にご相談ください

本記事でご紹介したような倉庫・工場の売却は、正和工業でも提供しています。
関東近郊の工場・倉庫などの事業用不動産の売却サポートを不動産仲介サービス「ZEUS INBEST」にて支援しており、確実な売却を実現します
ZEUS INBESTでは、確実な物件売却・高額売却に関する情報提供や、物件価値を高めるリノベーションもご提案可能です。詳しいサービス内容は以下からご覧ください。

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また、倉庫・工場の売却を検討中で不動産会社を探している方や、正和工業の不動産仲介についてご関心のある方は、以下からお問い合わせください。

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お役立ち資料

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このコラムを書いたライター

編集者
正和工業マーケティングチーム
正和工業は、20,000件以上の施工実績を持つ総合建築企業です。
培った技術力・ノウハウを活かし、不動産仲介サービス「ZEUS INBEST」を通して物件に関する情報提供から管理・リノベーションまでサポートいたします。
コラムにて物件売買に役立つ様々な情報を紹介しています。