相続した土地の売却にかかる税金はいくら?
節税対策も解説
本記事では、相続した土地の売却時に適用できる節税対策と、それぞれの適用要件や控除額、申請方法などを解説します。
相続した土地の売却を検討しており、節税対策を知りたい方はぜひご覧ください。
相続した土地を売却する際にかかる税金
相続した土地を売却する際には、以下の3つの税金がかかります。
・登録免許税
登録免許税は、相続した土地の名義変更時に課される税金です。
税率は、不動産の固定資産税評価額の0.4%です。
ただし、不動産の評価額が100万円以下の場合や、1次相続の際に相続登記をせずに死亡し、2次相続で登記する場合(令和7年3月31日までの期間限定)は非課税となります。
・印紙税
売買契約書に貼付する収入印紙にかかる税金です。
不動産の売買契約書には印紙が必要であり、契約金額に応じて税額が決められています。
・譲渡所得税
譲渡所得税は、相続した土地を売却する際の売却益(所得)に対して課税される税金です。
計算式は以下の通りです。
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 所有年数に応じた税率
譲渡所得 = 土地の譲渡価格 - 土地の取得価格 - 譲渡費用
税率は、不動産を所有していた期間によって異なります。
・短期譲渡所得(所有期間5年以内)
所得税:30%
住民税:9%
合計:39%
・長期譲渡所得(所有期間5年超)
所得税:15%
住民税:5%
合計:20%
また、土地を売却する際の流れやポイントについては以下をご覧ください。

売却の流れや税金、高く売るポイントを解説
相続から3年以内に売却する際に適用できる節税対策
相続から3年以内に売却する際には、以下の2つの特例が適用されるため節税対策になります。
取得費加算の特例
相続により取得した土地を相続開始から3年以内に売却する際に適用できる税制優遇措置です。この特例を利用すると、譲渡所得税の計算において、相続税額の一部を取得費に加算できます。
特例を受けるための要件は以下の通りです。
・相続や遺贈により土地や建物などを取得した者であること
・その資産に対して相続税が課税されていること
・指定された期間内に資産を譲渡すること
この特例を適用した場合の譲渡所得は以下の式で求められます。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 取得費に加算する相続税額 - 譲渡費用
取得費に加算する相続税額は以下の式で算出します。
相続税額 = 譲渡した財産の相続税評価額 ÷ (その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額)
特例を申請する場合には、相続財産を譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までの期間に確定申告を行い、以下の書類を用意する必要があります。
・相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表計算明細書)【土地・建物用】または株式等にかかる譲渡所得等の金額の計算明細書
相続空き家の3,000万円特別控除の特例
相続により取得した空き家を売却する際、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる優遇措置です。
適用期間は相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日までの譲渡となっています。
特例を受けるための要件は以下の通りです。
・相続または遺贈により取得した家屋であること
・相続開始直前に被相続人が一人で居住していたこと
・1981年5月31日以前に建築された区分所有建築物以外の建物であること
・相続時から売却時まで、事業、貸付、居住の用に供されていないこと
・譲渡対価の合計額が1億円以下であること
・相続開始から3年以内に売却すること
・建物が耐震基準を満たしていること、または売却後に取り壊しか耐震リフォームを行うこと
控除額は相続人1人につき3,000万円(相続人が3人以上いる場合は1人あたり2,000万円)であり、譲渡所得から控除額を差し引いて課税所得を計算します。
申請するためには、空き家の所在する市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を申請し、確認書の交付を受けたうえで、以下の書類を添付して税務署に提出します。
・被相続人の除票住民票の写し
・売買契約書の写し
・相続関係書類 など
相続した土地を売却する際に適用できるその他の節税対策
相続した土地を売却する際に適用できるその他の節税対策としては、以下の3つがあります。
居住用不動産の3,000万円特別控除の特例
個人が居住している(または居住していた)家屋やその敷地(いわゆるマイホーム)を売却した際に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。これにより譲渡所得税が軽減されるか、場合によっては課税されないこともあります。
特例を受けるための要件は以下の通りです。
・自己が居住している(または居住していた)家屋または家屋とその敷地等の売却であること
・売却した年の前年及び前々年にこの特例を利用していないこと
・特別の関係にある者(親族や同族会社など)への譲渡でないこと
・他の特例を適用していないこと
・過去に居住していた家屋等の場合、居住しなくなった日から3年目の年末までに譲渡すること
・家屋を取り壊して敷地のみを譲渡する場合、取り壊しから1年以内に譲渡契約を締結し、居住しなくなった日から3年目の年末までに譲渡すること
また、控除額の算出式は以下の通りです。
譲渡所得の計算式:
譲渡所得 = 収入金額 – (取得費 + 譲渡費用)
特例適用後の課税対象額:
課税対象額 = 譲渡所得 – 3,000万円(特別控除)
申請する際には、以下の書類を用意したうえでマイホームを売却した翌年(2月16日から3月15日頃)に確定申告を行います。
・確定申告書付表兼計算明細書(譲渡所得の内訳書)
・住民票(除票)の写し
・売買契約書の写し
・本人確認書類
・取得費の領収書 など
平成21年及び平成22年に取得した土地の1000万円特別控除の特例
リーマンショック後の景気対策として導入された特例であり、平成21年または22年に取得した土地を売却する際、譲渡所得から最大1,000万円を控除できます。
居住用や事業用の土地だけではなく、未利用の不動産にも適用できる点が特徴です。
適用要件は以下の通りです。
・平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に土地を取得していること
・平成21年取得の土地は平成27年以降、平成22年取得の土地は平成28年以降に譲渡すること
・特別な関係者(親子、夫婦、同族会社など)から取得した土地ではないこと
・相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済、所有権移転外リース取引により取得した土地ではないこと
・他の譲渡所得の特例(収用等の特別控除、事業用資産の買換特例など)を適用していないこと
この特例では譲渡所得から1,000万円を控除しますが、譲渡所得が1,000万円に満たない場合は、その譲渡所得の金額が控除額となります。
申請する際には、確定申告書に特例適用の旨を記載したうえで、以下の書類を添付します。
・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表)
・登記事項証明書
・売買契約書の写し など
低未利用土地の100万円特別控除の特例
低未利用土地等の有効活用を促進するための税制特例措置であり、一定の要件を満たす低未利用土地等を譲渡した場合、長期譲渡所得から100万円を控除できます。
なお、低未利用土地とは、「居住の用、業務の用その他の用途に供されておらず、又はその利用の程度がその周辺の地域における同一の用途若しくはこれに類する用途に供されている土地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる土地」と定義されています(土地基本法第13条第4項)。
適用要件は以下の通りです。
・譲渡者が個人であること
・都市計画区域内の低未利用土地等であること
・譲渡年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
・令和2年7月1日から令和7年12月31日までの譲渡であること
・譲渡後に当該土地等が利用されること
・譲渡者の特別関係者への譲渡でないこと
・譲渡対価が以下の金額を超えないこと:
令和4年12月31日までの譲渡及び令和5年1月1日以降の市街化調整区域内の譲渡:500万円
令和5年1月1日以降の市街化区域内の譲渡:800万円
適用を受ける場合には、市区町村の担当窓口に「低未利用土地等確認書」の交付を申請し、確認書の交付を受けたうえで確定申告時に確認書を添付して提出します。
節税対策に必要な確定申告の流れ
ここまで解説した節税対策の中には、確定申告が必要なものがあります。
確定申告の流れは以下の通りです。
①必要な書類を準備する
まずは必要な書類を準備します。主な書類の種類には以下があります。
・確定申告書(第一・第二・第三表)
・譲渡所得の内訳書
・相続時の土地の評価額を示す書類
・売買契約書の写し
・仲介手数料等の経費の領収書
・登記事項証明書
・本人確認書類
②譲渡所得の内訳書を記入する
譲渡所得の内訳書に、土地の所在地、面積、売却日、売却価格などの必要事項を記入します。
特別控除がある場合はそれを適用します。
③確定申告書を記入する
譲渡所得の内訳書の情報を基に、確定申告書に必要事項を転記し、適用可能な特例(例:相続した空き家の3,000万円特別控除)があれば適用します。
④税務署に書類を提出する
申告期間(2月16日〜3月15日)内に管轄の税務署へ提出します。
⑤納税する・還付を受ける
納税が必要な場合は、指定された期日までに納付します。
還付がある場合は、申告後に還付金が振り込まれます。
相続した土地の売却はZEUS INBESTにご相談ください
ご紹介したように、相続した土地の売却にはさまざまな特例や控除が適用できる可能性があるため、専門家に相談することがおすすめです。
「ZEUS INBEST」は、建設ベースの不動産ならではのノウハウで事業用不動産の確実な売却をササポートするサービスです。
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【倉庫・工場】売却前に読むべきガイドブック
このコラムを書いたライター

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