法人の土地売却にかかる税金はいくら?
税額の計算方法や確定申告の方法、節税対策について紹介!
法人としての土地売却をご検討中の方はぜひ最後までお読みください。
土地売却前に知っておきたい法人税の仕組み
土地の売却を通じて損失を計上すると、法人税の節税効果が期待できます。
そこでまずは、土地を売却する前に知っておきたい法人税の仕組みとして以下の2つをご紹介します。
法人税は当期純利益に課税される
法人が土地を売却した場合、事業により発生した営業利益をはじめとするすべての収益と土地の売却益を合算し、そこから経費を差し引いた税引き前当期純利益に対して法人税が課せられます。法人の場合、貸借対照表上の帳簿価額よりも高い金額で土地を売却した場合には売却益、低い金額での売却した場合には売却損が発生します。
購入した土地は、基本的には取得価額がそのまま帳簿価額となるため、例えばバブル期のように地価が高騰していた時期に購入した土地は、帳簿価額が高額になるケースが少なくありません。そうした場合に土地を売却すると、売却損が生じやすくなります。このような土地を、事業が好調で多くの営業利益が発生した年度に売りに出せば当期純利益を圧縮でき、法人税の節税につながります。
反対に、営業利益が赤字の年度に帳簿価額が低い土地を売り、売却益を手に入れることができれば、赤字分を相殺して利益が発生する場合があります。借入金がある場合にはその利益を返済に充てることが可能です。
土地売却の損失は繰越欠損金として10年間繰越控除できる
土地を売却したことで損失が発生した場合、法人であれば繰越欠損金として10年間計上できます。個人の場合は3年間であるため、長期間繰越控除できるというメリットがあります。
法人の土地売却にかかる税金の種類と計算方法
法人が土地を売却した場合に課せられる税金として、主に以下の3つがあります。
法人税
法人税は、法人が事業活動で得た所得に対して課せられる税金で、国税の1つです。事業収益を表す益金(商品の売上収入や土地の売却収入など)から、損金を差し引いた額が課税対象の所得となります。そのため、所得金額がゼロであれば法人税は発生しません。
法人税は以下の計算式で求められます。
課税所得(益金-損金)×税率
資本金1億円以下の法人の場合、税率は以下の通りです。
上記以外の普通法人の場合、税率は一律で23.2%です。
法人住民税
法人住民税は、地方自治体に納める地方税の1つです。都道府県に納める「都道府県民税」と、市町村に納める「市町村民税」があり、その合計が法人住民税となります。
法人住民税は、住民税額に自治体が定める税率をかけて算出する「法人税割」と、資本金や従業員数に応じて各自治体が定めた税額を納める「均等割」からなります。
一般的には、資本金1,000万円以下で従業員数が50人以下の法人の場合、均等割額は7万円(都道府県民税:2万円、市町村民税:5万円)となります。均等割は、所得が赤字の場合も納税が必要です。
また、法人税割の一般的な税率は以下の通りです。
※自治体によっては、一定以上の規模の法人に適用される「超過税率」を設けているところもあります。
法人事業税
法人事業税は、事業を通じて得た利益に対して課せられる地方税であり、法人住民税と同様に法人が所在する地方自治体に納めます。所得がゼロ、もしくは赤字の年度は納税する必要がありません。
法人事業税は以下の計算式で求められます。
課税所得×法人事業税率
法人事業税率は自治体により異なりますが、資本金1億円以下の場合、標準税率は以下の通りです。
資本金1億円を超える法人の場合、所得以外に付加価値割、資本割という課税標準が適用されます。法人の区分によって税率は異なるため、詳しくは総務省や自治体のホームページをご覧ください。
法人の土地売却で利用できる特例
土地売却の際に、要件を満たしている法人であれば以下の特例を利用できる場合があります。
平成21年及び平成22年に土地等を取得した場合の特例制度
平成21年、22年に取得した土地、または土地の上に存する権利(以下、土地等)を売却した際に適用できる制度として以下の2つがあります。これらの制度は、リーマンショックによって低迷した土地取引を活性化させる目的で作られました。
・平成21年及び平成22年中に取得した土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除の特例
平成21年、22年に取得した土地等について、適用要件を満たしていれば譲渡益から最大で1,000万円を控除できる制度です。
適用要件は以下の通りであり、すべての要件を満たしている必要があります。
・平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に土地等を取得
・平成21年に取得した土地等は平成27年以降に売却、平成22年に取得した土地等は平成28年以降に売却
・生計を一にする親族や内縁関係者など、特別関係者から取得したものではない
・相続・遺贈・贈与・交換・代物弁済・所有権移転外リース取引により取得したものではない
・譲渡した土地等について、他の譲渡所得の特例を受けていない
・平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例
平成21年、22年に土地等を先行取得し、取得の翌事業年度から10年以内に他の土地を売却した場合、先行取得した土地等の取得価額を限度に、売却益の80%(平成22年内に取得した土地等のみである場合は60%)に相当する額を課税延べできる制度です。
ただし、土地等を先行取得した平成21年、もしくは22年の確定申告書提出期限までに、本特例制度の届出書を提出していなかった場合、この特例は受けられません。
収用等の場合の特別控除
土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地を売却した場合、5,000万円、もしくはその資産の譲渡益の額とのいずれか少ない金額を損金に算入できる制度です。
以下の適用要件を満たしている必要があります。
①土地等が固定資産である(棚卸資産でない)
②収用に伴う他の租税特別措置法で定める優遇税制を受けていない
③買い取りの申し出があった日から6か月以内に土地等を譲渡している
④買い取りの申し出を最初に受けたものが土地等を譲渡している
⑤特例を適用する旨の記載及び収用証明書等を確定申告書に添付している
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の特別控除
国土交通省が推進する特定の土地区画整理事業に土地を売却した際に、一定の要件を満たすとき、2,000万円、もしくは譲渡益の額のうち少ない金額を損金に算入できる制度です。
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の特別控除
特定住宅地造成事業などの土地収用法に基づく土地売却を行った際、一定の要件を満たしていれば、1,500万円、もしくは資産の譲渡益のうち少ない額を損金に算入できる制度です。
法人が土地を売却する際の節税対策
土地売却で法人が活用できる節税対策として、以下の2つがあります。
設備投資をする
土地の売却益を設備投資に充てることで利益を圧縮し、税負担を軽減することが可能です。
身近な設備投資としては、パソコンや電話、コピー機などの機器を購入する、オフィスをリノベーションする、社用車を買い替えるなどの方法があります。
なお、建物や機械、車両などの固定資産を購入した際には、取得価格を一括で経費計上せず、耐用年数をもとに減価償却として複数年にわたり計上します。
設備投資額が大きければ節税効果は高いですが、巨額の設備投資は企業のキャッシュフローを悪化させる可能性もあるため注意が必要です。
役員の報酬や賞与、退職金を支払う
法人では、役員へ支払う報酬や賞与などが損金として認められています。そのため、一時的に役員報酬を増やす、役員の賞与や退職金を支払うなどすることで、利益が減り税負担の軽減につながります。
ただし、役員報酬は「定額同額給付」である必要があり、事業年度開始日から3か月以内に定時株主総会で決定しておく必要があります。
法人の土地売却は専門の不動産会社に相談しよう
土地売却にはさまざまな税金控除の特例がありますが、適用できない場合もあり、節税対策には限界があります。節税に限界がある以上、手元のキャッシュフローを増やすためにも土地をなるべく高く売ることが重要です。土地売却価格を高くするには、専門の不動産会社に依頼するのがおすすめです。
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