所有権移転登記とは?
費用や必要書類、手続きの流れを解説

2024.06.28
所有者移転登記は不動産の所有権が変わったときに行う手続きであり、不動産の売買や贈与、相続などが発生したタイミングで速やかに行う必要があります。しかし、手続きが煩雑であり、どのように進めれば良いかわからない方も多いのではないでしょうか。本記事では、所有権移転登記に必要な費用や書類、手続きの流れを解説します。

所有権移転登記とは

所有者移転登記は、不動産の所有者が移転(変更)した際に行う手続きのことです。具体的には、不動産の売却や購入、贈与、相続、財産分与が発生した場合に行い、不動産登記を通じてその不動産の所有権が誰に属しているのかを明らかにします。
特に相続に関しては、法改正に伴い2024年4月1日から義務化されています。

所有権移転登記が必要なタイミング

所有権移転登記は、不動産の購入や売却、譲渡、相続などのように所有者が変わったタイミングで行います。不動産を手に入れたら、その所有権を法的に公式なものとするために実施しなければなりません。

所有権移転登記の費用とは?

所有者移転登記を行う際には、下記の費用が必要となります。

登録免許税
司法書士報酬(司法書士に依頼する場合)

ここでは、それぞれの金額を解説します。

登録免許税の計算方法

登録免許税は、不動産の権利を登記簿に記録する際に納める税金です。物件の価値を基に計算され、不動産や登記の種類によって税率が異なるため、正確な計算を行う必要があります。
不動産の種類には宅地、農地などの土地、マンションや一戸建てなどの建物がありますが、これらは評価基準が異なり、税率も変動します。

納めるべき税額は、固定資産税評価額に対して下記の税率をかけた金額です。

例えば、固定資産税評価額2,000万円の土地を相続するケースでは、税額は下記の通りとなります。

2,000万円 × 0.4% = 8万円

司法書士報酬の相場

所有者移転登記の手続きは煩雑であるため、たいていは専門知識を持つ司法書士に依頼しますが、その際には報酬が発生します。報酬は、物件の地域や価値、手続きがどの程度複雑かなどによって金額が変動します。そのため、不動産の価格が高い場合や登記手続きが特殊な場合は、高額になることが一般的です。

報酬の相場としては、対象の物件1件あたり2~5万円ほどです。ただし、相続・財産分与において遺産分割協議書や離婚協議書の作成をあわせて依頼する場合や、融資を使って購入する際に抵当権設定登記も依頼する場合には、さらに数万円程度上乗せされます。

本章では所有権移転登記に必要な費用を解説しましたが、次章では必要な書類について紹介します。

所有権移転登記の必要書類

所有権移転登記を行う際には、多くの書類を揃える必要があり、取得に費用がかかるものもあります。以下では、所有者移転登記で準備すべき書類やその入手場所などについて見ていきます。

共通の必要書類

売買や贈与、相続など登記の種類を問わず、登記事項証明書は必須です。登記事項証明書は不動産の情報(所在地や種類など)や所有権、抵当権が記載された書類のことであり、登記簿謄本とも呼ばれます。
取得する際には手数料がかかり、登記所また法務局証明サービスセンターの窓口で請求する場合には600円となります。オンライン請求であれば、郵送で受け取る場合は500円、登記所また法務局証明サービスセンターで受け取る場合は480円となります。

売主(贈与者)と買主(非贈与者)それぞれの必要書類

【売主】
●不動産登記申請書
不動産登記を行う際に法務局へ申請する書類です。登記申請の目的や登記権利者・義務者などの情報を記載します。
法務局のホームページに様式があるので、そこからダウンロードして利用します。取得費用は不要です。

●登記原因証明情報
登記の原因となる事実や売主・買主などを明らかにした書類のことであり、売買契約書や贈与契約書などから必要な情報を司法書士がピックアップして作成します。売主が署名押印した売買契約書のコピーでも問題ありません。

●登記識別情報または登記済証
不動産の権利者を公的に証明するための種類です。登記時に法務局で発行します。取得費用はかかりません。

●印鑑登録証明書
押印したハンコの印影が本人であることを証明するための書類です。住民登録している市町村に印鑑登録をすることで発行できます。
印鑑登録証明書は、市町村の窓口で請求します。取得の手数料は自治体によって異なりますが、200~400円ほどです。

●固定資産評価証明書
固定資産課税台帳に記載されている、固定資産の所有者や所在、地目・地積(土地の場合)、固定資産評価額などの事項を証明する書類です。登記申請日の年度の証明書が必要となります。
固定資産評価証明書は、土地所在地の市町村の窓口で請求します。手数料は自治体によって異なりますが、200~400円ほどです。

●代表者事項証明書または会社登記簿謄本
代表者事項証明書は、会社の代表者である資格を証明するための書類であり、法務局から取得します。窓口で請求する場合の手数料は600円、オンラインで請求する場合は、郵送受け取りでは500円、法務局の窓口での受け取りでは480円です。
会社登記簿謄本は、その会社の登記情報が記載されている書類です。会社が実在していることを証明する役割があり、登記事項証明書とも呼ばれます。法務局で取得し、手数料は代表者事項証明書と同じです。

●身分証明書
登記を行う者が本人であるかを証明するものであり、司法書士に代行してもらう場合に必要です。運転免許証、健康保険証、パスポートなどが該当します。

●委任状
所有権移転登記を本人が行うのではなく、司法書士に代行してもらう際に必要となる書類です。売主の実印(および買主の認印)が必要となります。法務局のホームページで公開されているフォーマットを利用するか、自分で作成しても問題ありません。

●住民票の写し
売主の現住所が、現在の登記簿の記載と異なる場合には住民票の写しが必要です。お住まいの市町村の窓口で取得します。手数料は300円ほどです。

【買主】
買主も売主同様に下記の書類が必要です。売主と比べると準備すべき書類はそれほど多くありません。
各書類の取得方法や手数料は売主側と同様です。

●不動産登記申請書
●登記原因証明情報
●印鑑登録証明書
●代表者事項証明書または会社登記簿謄本
●身分証明書
●委任状(認印を押印)
●住民票の写し

相続が関係する場合の書類

相続が関係する場合には、下記の書類が必要となります。

●登記識別情報または登記済証
上記の売買の際と同様に取得します。

●委任状
上記の売買と同様、司法書士に代行を依頼する場合に必要です。

●戸籍謄本
個人の本籍地と身分事項が記載された謄本であり、相続人本人であることを証明するために必要です。
本籍地の市町村の窓口で取得します。マイナンバーを利用したコンビニでの交付に対応している自治体もあります。手数料は450円です。

●住民票の写し
相続人本人の所在を証明するために必要です。取得方法や手数料は上記の売主・買主の場合と同様です。

●被相続人の住民票除票
被相続人(故人)が最後に住んでいた住所地と、登記している不動産が被相続人のものであることを証明するために必要です。
被相続人が最後に住んでいた市町村の窓口で取得します。手数料は300円です。

●固定資産評価証明書
上記の売買の際と同様に取得します。

●遺産分割協議書
被相続人が遺言を残しておらず、相続人が複数いる場合、不動産の分割に関する協議の結果を記載した遺産分割協議書を提出します。相続人全員の実印の押印および印鑑証明書の添付が必要です。
司法書士に作成を依頼するか、自分で作成します。

●登記原因証明情報
登記の原因となる事実を記した書類であり、被相続人の存在を証明するために必要です。相続の場合は被相続人の誕生から死亡までの戸籍謄本や、遺産分割協議書、遺言書が該当します。
戸籍謄本であれば、被相続人の最終的な本籍地の市町村窓口で取得します。手数料は450円です。

●相続関係説明図
被相続人と相続人の関係を示した書類であり、被相続人の氏名、住所、死亡年月日、相続人全員の氏名、住所、生年月日を記載します。
司法書士に作成を依頼するか、自分で作成します。

●遺言書、検認調書
被相続人の意思・意向を示す書類であり、遺言書がある場合はこれを登記原因証明情報として使用できます。
検認調書は、被相続人本人が自筆し、署名捺印した遺言書(自筆証書遺言)を家庭裁判所で検認してもらった際に発行してもらう書類であり、自筆証書遺言とともに登記原因証明情報として扱います。

本章では所有権移転登記に必要な書類を解説しましたが、次章では具体的な手続きの流れを紹介します。

所有権移転登記の手続きの流れ

所有権移転登記の手続きは、以下の流れで行います。

手続き開始から登記完了までのステップ

①司法書士への委任
所有権移転登記では揃えるべき書類が多く、煩雑な手続きが必要であるため、司法書士に依頼することが一般的です。前述の通り、司法書士への報酬は多くの場合2~5万円ほどですが、相場がわからなければ複数の司法書士から見積もりを取ると良いでしょう。

②必要な書類の準備
前章でご紹介したような必要書類を準備します。司法書士に代行を依頼する場合は委任状や身分証明書等を、依頼しない場合はすべて自分で取得・作成する必要があります。

③登記の申請
必要書類を揃えたら、登記申請書に添付して管轄の法務局に提出します。提出方法は窓口への持参、郵送、オンラインのいずれかです。

④登記完了
提出された書類の内容を法務局が審査し、申請内容に問題がなければ1~2週間程度で登記が完了します。

⑤新たな登記簿謄本の受け取り
登記完了後、登記事項証明書を法務局窓口や郵送などで受け取ります。これで一連の手続きが終了です。

所有権移転登記は迅速に行いましょう

所有権移転登記は、不動産の売買、贈与、相続などにより、所有権が移ったタイミングで速やかに行うことが重要です。迅速に手続きを行わないと、不動産の所有権に関するトラブルにつながりかねません。トラブルを防ぐために、不動産の購入や売却など、所有権移転登記が発生する手続きは不動産会社の仲介のもとで行うのがおすすめです。

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正和工業マーケティングチーム
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