農地を売却するには?
必要な手続きや税金などを解説
本記事では、農地を早めに売却すべき理由や農地売却に必要な手続きの流れ、売却にかかる税金などを解説します。
農地売却の流れを知りたい方や、農地を売却した際にかかる税金について知りたい方はぜひご覧ください。
農地の売却は難しい?
農地の売却は難しいと言われますが、その理由として以下の3つが挙げられます。
農地法で購入者が制限されている
日本では農地法により、農地を購入できるのは地域の農業委員会から許可を受けた農家(農業を営む個人または農業生産法人)に制限されています。
また、農地の購入者は以下の要件を満たす必要があります。
・農地のすべてを効率的に利用する営農計画を持っていること
・農地の取得者・世帯員が年間150日以上農業に従事すること
・取得後の農地面積が50アール以上になること
・地域の農業ルールを守り、他の農家と協調できること
こうした条件が課せられていることから、潜在的な農地の購入者が制限されています。
農家が高齢化している
農業の高齢化や跡継ぎ不足が進んでいることも、農地売却を難しくしている要因です。農業従事者の減少により農地そのものの需要が低下しているほか、高齢化に伴い、新たに農地を購入して農業を拡大しようとする農家も少なくなっています。
実際に農林水産省の資料※によると、2023年の基幹的農業従事者の平均年齢は68.7歳であり、65歳以上が全体の約7割を占めています。
これらの要因が重なり、農地の買い手を見つけることが難しくなっています。
農地転用に許可が必要になる
農地を農地以外の用途に転用する場合、農業委員会から許可を得る必要があります。
制限が設けられている理由は、農地が容易に転用できてしまうと国全体で食料を生産できる能力が大きく低下するおそれがあるためです。
また、農業生産性の高い農用地区域内農地や甲種農地、第1種農地は転用が原則不許可とされています。
農地を今売却するべき理由
前述のように農地の売却にはハードルがありますが、それでも売却を考えている場合には早めに売却するべきです。その理由としては以下の3つが挙げられます。
企業の農業参入が増えている
近年、異業種の企業の農業参入が増加しており、農地売却の追い風となっています。なぜなら、企業の参入により農地の需要が高まる可能性があるためです。
早めに売却を検討することで、この機会を逃さず、より良い条件で売却できる可能性が高まります。
農地が荒廃すると売却が困難になる
農地を放置すると荒廃が進み、売却が困難になる場合や、売却できたとしても価格が安くなる場合があります。また、農地が荒廃すると害虫や野生動物、雑草の増加や景観の悪化など、周囲の環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
荒廃しないように維持することにも労力やコストがかかるため、なるべく早めに売却することが望ましいでしょう。
固定資産税がかかる
農地を所有し続ける限り、固定資産税が毎年課税されます。耕作放棄地となった農地でも固定資産税は課され続けるため、所有者に経済的負担が発生します。
早めに売却することで、農地の所有に伴う税負担を抑えられます。
農地売却に必要な手続きの流れ
農地売却を行うにはどのような流れで進めれば良いのでしょうか。
農地売却の流れをケース別に解説します。
農地のまま売却する場合
①買い手を探す
まず、農地の買い手を見つける必要があります。近隣の農家や農地所有適格法人の中から自分で買い手を探すか、それが難しければ農業委員会や農協、農地を扱う不動産会社に相談する方法があります。
②売買契約を結ぶ
買い手が見つかったら、農業委員会の許可を条件とする売買契約を締結します。この契約書内に、許可が下りなかった場合に契約を解除する特約を含めることが賢明です。
③農業委員会に農地売買の許可を申請する
売買契約締結後、農業委員会に農地法第3条による売買(所有権移転)許可を申請します。
申請には以下の書類が必要です。
・許可申請書
・土地の登記事項証明書
・位置図
・公図の写し
・営農計画書
・耕作証明書
④農業員会から許可通知を受け取る
農業委員会で審査が行われ、条件を満たしていれば許可通知が発行されます。
⑤買い手に農地を引き渡す
許可が下りたら、農地を買い手に引き渡します。この段階で、売買代金の精算と所有権移転登記の申請を行います。
所有権移転登記について詳しくは以下の記をご覧ください。

費用や必要書類、手続きの流れを解説
農地を転用して売却する場合
①農地の基本区分を確認する
事前に自身が所有する農地の基本区分を農業員会や地元の自治体の農政関係部署に問い合わせ、農地転用が可能な区分か確認する必要があります。
②買い手を探す
転用する場合、一般的には不動産会社に売却依頼をし、買い手を探します。農地転用後の活用方法を考慮できる、農地売却のノウハウを持つ不動産会社を選ぶことが重要です。
③売買契約を結ぶ
買い手が見つかったら、農地転用の許可を条件とする売買契約を締結します。農地のまま売却する場合と同様に、許可が下りなかった場合に契約を解除する特約を含めておくと良いでしょう。
④農業委員会に農地転用の許可を申請する
売買契約締結後、農業委員会に農地転用許可申請書を提出します。
申請時には、農地転用許可申請書や位置図、公図の写しのほか、事業計画書(資金計画を含む)、資金証なども必要です。
⑤農業委員会から許可通知を受け取る
農地転用が許可されると、農業委員会から許可通知が発行されます。
転用に伴う工事が完了した後、不動産登記の地目を変更する必要があります。
⑥買い手に農地を引き渡す
農地を買い手に引き渡します。この段階で、売買代金の精算と所有権移転登記を行います。
農地売却にかかる費用と税金
農地売却を行う際には、以下の費用と税金がかかります。
仲介手数料
不動産会社を通じて売却する場合は、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
以下のように、宅地建物取引業法における仲介手数料の規定を準用する場合が一般的です。
・売却価格が400万円以下の場合
200万円以下:売却価格の5% + 消費税
200万円超400万円以下:売却価格の4% + 消費税
・売却価格が400万円を超える場合
一般的な計算式:売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税
譲渡所得税
農地を売却して得た所得金額に譲渡所得税が課されます。
譲渡所得税額の計算式は以下の通りです。
収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額
また、農地を所有していた期間によって税率は異なります。
・短期譲渡所得(所有期間5年以内)
所得税:30%
住民税:9%
合計:39%
・長期譲渡所得(所有期間5年超)
所得税:15%
住民税:5%
合計:20%
農地売却はZEUS INBESTにご相談ください
農地売却は、通常の土地に比べ制限があり手続きも複雑なため、ご自身で行うのが難しい場合には農地売却のノウハウを持つ不動産会社に相談することがおすすめです。
「ZEUS INBEST」は、建設ベースの不動産ならではのノウハウで不動産の確実な売却をササポートするサービスです。
大手企業を中心に多くの買い手顧客を保有しており、長年建設業で培ってきたネットワークを活かし、企業様同士の仲介を推進いたします。
農地をそのまま売却する場合も、転用して売却する場合も仲介可能です。
農地売却にご関心のある方は下記よりお問合せください。
お役立ち資料

【倉庫・工場】売却前に読むべきガイドブック
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このコラムを書いたライター

培った技術力・ノウハウを活かし、不動産仲介サービス「ZEUS INBEST」を通して物件に関する情報提供から管理・リノベーションまでサポートいたします。
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