居抜き物件とは?賃貸か購入どちらにすべき?メリット・デメリットを解説
居抜き物件とは?
居抜き物件とは、前の使用者が使っていた内装・設備が残っている物件のことです。前に借りていた入居者がいなくなっただけであるため、物件によってはすぐに営業が始められる物件もあれば、一部の設備のみ残されており改装を加える必要のある物件まで幅広くあります。
居抜き物件は、変化が加速する昨今増えてきていますが、契約上では「居抜き」と記載されることはありません。
居抜き物件とスケルトン物件の違い
店舗物件を探す際に、居抜き物件とよく似た言葉として「スケルトン物件」を目にすると思います。スケルトン物件とは骨組み以外何もない物件のことを指しており、天井、床、壁なども内装設備が全くない状態で、前の使用者が使っていた設備はありません。
通常、原状回復義務のある物件が多いため、居抜き物件よりもスケルトン物件が多い傾向です。
居抜き物件(賃貸)の契約形態
居抜き物件を活用する際は、物件ごとに購入をする場合と、賃貸で借りる場合があります。ここでは賃貸の場合の一般的な契約形態を3つご紹介します。
●無償貸与
通常の賃貸借契約のみの締結で使用でき、無償で内装や設備をそのまま使用して出店できます。内装の造作の所有権は貸主にあるのが一般的です。
●リース
通常の賃貸借契約にプラスして、内部造作のみはリース契約を結ぶことが可能です。設備等の所有権はリース会社が持っている状態になります。
●造作譲渡
前の入居者が使用していた内装設備や所有権を有償で譲り受ける方法です。所有権は借主になり、通常の賃貸借契約とは別に、造作譲渡契約や資産譲渡契約を締結します。
居抜き物件のメリット・デメリット
注目を集めている居抜き物件ですが、さまざまなメリットとデメリットがあります。以降では、居抜き物件を活用するメリット・デメリットをご紹介します。
居抜き物件活用のメリット
居抜き物件を活用するメリットとしては、主に下記3つがあります。
●改装費のコスト削減が可能
前の入居者が使用していた内装設備を利用できるため、新たに改装する費用を抑えることが可能です。
●早い段階で営業開始できる
内装設備をそのまま利用するため、営業開始までの工事期間や賃料負担を抑え、いち早く営業することが可能です。また、営業開始までにかかるコストを抑えられることから、かかったコストを早く回収することもでき、経営基盤の強化や新しい設備投資に資金を早く回せます。
●顧客を取り込みやすい
居抜き物件にて、新しい事業を行う場合、以前のテナントの認知度を活用できるケースがあります。
例えば以前飲食店があった場合には、近隣の住人に飲食店があると根付いているため、新しく飲食店を開業すれば認知を行いやすく、場合によっては前の飲食店の顧客を取り込むことも期待できます。
居抜き物件活用のデメリット
居抜き物件活用のデメリットとしては、以下2つが挙げられます。
●前の物件のイメージを引き継いでしまうことがある
居抜き物件の場合、前述したように前の顧客を取り込みやすいため、前のテナントのイメージを引き継いでしまいます。そのため前のテナントにて悪い印象があった場合、新しく事業を展開してもその印象を引き継いでしまうため、開業する際には戦略的な店舗運営が必要です。
また、レイアウトに自由が利きにくいため、希望する店舗運営が難しいケースもあります。
●想定外のコストがかかる可能性がある
前のテナントの内装設備がそのまま使える場合もあれば、中古のため修理や買い替えが早い段階で必要になる場合もあります。契約する際には、現在の内装・設備で問題ないか確認することが重要です。
居抜き物件は賃貸か購入どちらにすべき?各メリットを紹介
居抜き物件を活用したい場合、賃貸にするか、中古を購入するかの2つの選択肢があります。以降では、賃貸・中古購入それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
前提として、都心か田舎かなどによって居抜き物件を売買できるかどうかは変わってくるため、検討している地域内に賃貸と購入どちらも選択肢があるケースでの解説になります。
居抜き物件を賃貸で借りる場合のメリット・デメリット
●メリット
居抜き物件の特徴として、かかるコストを抑えられることがありますが、賃貸の場合は初期投資費用がいらないため、購入よりも費用をさらに抑えることが可能です。また、設備や家具をそのまま使用できるため、営業開始までの工数があまりかからないのもメリットです。
●デメリット
万が一儲からず閉店する際には原状回復※を行う必要があり、多くのコストがかかります。売ることができないためお金に換えることもできません。
また、オーナーが権限を持っているため、オーナーが指定する条件の中で店舗運営するしかありません。例えば、前の店舗がラーメン店であるため次の店舗もラーメン店のみしか出せないケースが多いです。
さらに、お客さんを選ぶような人気のエリアであれば、オーナーの優位性が高く、綺麗な状態を保つための条件が多い場合があります。一方で人気がないエリアは借主に優位があるため、場所によって店舗経営の自由度が変わります。
※契約時の注意点:原状回復は、契約書に義務として記載されていることが多いが、どこからどこまで原状回復するべきかを明確にすることが重要。思っている以上に原状回復が必要な場合は費用がかさむ可能性が高い。
居抜き物件を購入する場合のメリット・デメリット
●メリット
居抜き物件を資産として所有するため、利用後にお金に換えることが可能です。例えば、場所を貸して、賃貸として家賃収入を得ることや、そのまま売買をしてお金に換えることができます。また、賃貸と違い、オーナーが購入者自身になるためカスタマイズがしやすく自由度が高いです。
●デメリット
賃貸と比較すると初期投資が必要になります。また、自由度が高く制限が多くないために、開業までに思ったよりも費用をかけすぎてしまうケースが多いです。
このように賃貸と購入ではそれぞれメリット・デメリットが違うため、今後のキャッシュフローを考えたうえで、検討を進めることが重要です。
経営プランから検討する際は、短期譲渡と長期譲渡の考え方があります。2年といった短期で結果が出なければ移転する場合は、賃貸の方がメリットが大きくなります。しかし5年以上の長期の場合は、借入を起こしたとしても購入の方がメリットが大きくなります。なぜかというと、ひと月の賃料よりも借入の返済額の方が安くなる可能性や、成果が出なかった場合売却すれば残債額返済後手残りがある可能性があるからです。
ここまで居抜き物件を賃貸する場合と購入する場合のメリット・デメリットを解説しましたが、メリットの大小で5段階評価にすると以下のようになります。(メリットが大きいほど点数は高くなり、デメリットが大きいほど点数は低くなります。)
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先述したように、居抜き物件は購入をしたほうが資産として所有でき、自由度の高い店舗運営ができるため、長期的に見た時にコスト面でのリスクを減少させることが可能です。
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