【法人の任意売却】メリット・デメリットや流れ、ポイントを徹底解説

2024.10.08
会社の経営が悪化しローンの返済が難しくなったとき、任意売却によって不動産を手放し、ローン返済に充てる方法があります。任意売却を行う際には早めに金融機関に相談し、関係各所と交渉したうえで競売前に手続きを終えることが必須です。
本記事では、任意売却のメリット・デメリット、手続きの流れやポイントを解説します。
法人の不動産の任意売却を検討されている方はぜひ最後までお読みください。

法人の任意売却とは

任意売却とは、ローンを滞納している場合に、債権者と話し合い同意を得たうえで、抵当権付の不動産を市場で売却する方法です。

会社経営の悪化や破産により、住宅ローンや事業用ローンを滞納していると、通常は抵当権付の不動産は競売の対象となります。競売は裁判所によって強制的に行われるため、債務者が対象の物件から追い出される、売却額が安いなど多くのデメリットがあります。

一方で、任意売却であれば裁判所が関与せず、通常の不動産と同じ手続きによって市場価格で売却できるため、競売前に任意売却を検討することがおすすめです。

法人で任意売却を行うメリット

法人の場合、任意売却を行うメリットとしては以下の4点があります。

市場価格で売却できる

任意売却では、通常の不動産売買と同様の手続きで物件を売却できるため、市場価格に近い価格で売却可能です。

競売の場合、売却価格は高くても市場価格の8割以下、場合によっては5〜7割程度となることが多いのに対し、任意売却では市場価格と同様、あるいは8〜9割程度の価格で売却できる可能性があります。これにより、残債を最小限に抑えることが可能です。

引越しや明け渡しに時間の余裕がある

任意売却の大きな利点の1つは、引き渡し時期を調整できることです。
競売では、裁判所による現地調査や期間入札通知が送付され、追い出されるような形で引越しや明け渡しをしなければなりません。しかし、任意売却であれば債権者と相談しながら、任意のタイミングで不動産の売却活動、引越しや明け渡しを行えます。

保証人にかける迷惑を低減できる

任意売却を行うことで、保証人に与える影響を最小限に抑えることができます。
ローンは保証人や連帯保証人を付けていることが多く、残った借金は保証人に支払ってもらうことが必要です。任意売却なら売却益をローンの返済に充てることができるため、保証人に支払ってもらわないといけない金額を減らせます。

また、債権者との交渉により返済計画を立てることができるため、保証人に突然の支払い要求がなされるリスクを低減できます。

再生して経営を継続しやすい

不動産の競売手続きが開始されると入札者を公募することになるため、情報が公開されます。その場合、会社の所有不動産が競売にかかっていることが公になってしまい、経営状況が良くないと思われる可能性や、評判や信用が低下する可能性があります。

任意売却であれば、通常の市場取引と同じフローで売却できるため、不動産が売りに出されていることが知られたとしても、ローンの滞納によるものと知られずに済み、評判や信用の低下を避けることが可能です。これにより、事業を清算して再出発しやすくなります。

法人で任意売却を行うデメリット

一方で、法人での任意売却には以下のデメリットがあります。

債権者の同意を得られない可能性がある

任意売却においては、債権者(主に金融機関)の同意が不可欠ですが、その際に必ずしも同意を得られるとは限りません。金融機関の中には任意売却に難色を示すところもあり、債権者側が競売による回収を選択した場合、債務者の意向に関わらず競売手続きが進められてしまいます。

買い手との間で条件の合意が取れても、債権者が合意しない限り売買契約を締結できないことはデメリットです。

各所との交渉の手間がかかる

競売であれば強制的に進められるので利害調整の必要がありませんが、任意売却を行う場合は債権者や買い手との交渉が必要です。例えば、債権者との返済条件の交渉、買主との価格交渉や引き渡し条件の調整などを行わなければなりません。
こうした交渉は時間と労力を要し、債務者にとって負担となる可能性があります。

期限がある

任意売却は競売の入札開始日の前日までと設定されていることが一般的です。この日までに決済・引き渡しを終えていなければならず、条件に合った買主が見つからない可能性や、希望する価格での売却交渉がまとまらない可能性があります。
期限に間に合わない場合、競売に移行してしまう可能性があるため注意が必要です。

ここまで法人が任意売却を行うメリット・デメリットを解説しましたが、実際にはどのように進めていくのでしょうか。次章で流れを紹介します。

法人で任意売却を行う際の流れ

実際に任意売却を行う際は、以下の流れに沿って進めます。

①債権者に相談する

まずは、ローンの債権者や代位弁済をした保証会社に任意売却の打診をします。その際には、現在の返済状況や残債について説明し、債権者の同意を得ることが必要です。
可能であれば不動産の査定額を伝えるのが理想です。金融機関が納得できる金額であれば、任意売却に応じてもらいやすくなります。

なお、任意売却を行う前には、返済が滞っている旨を金融機関に伝え、返済計画を見直すことで返済の目途が立つか相談しておくと良いでしょう。

②不動産会社と売買の仲介契約を締結する

金融機関の同意を得られたら、不動産会社と売買の仲介契約を締結し、売却活動に進みます。
不動産会社は物件の適正価格の設定や販売計画の立案、さらには債権者との交渉サポートなど重要な役割を担うため、なるべく任意売却に精通した会社を選ぶことがおすすめです。

③買い手を探し不動産売買契約を締結する

不動産会社との契約締結後に不動産の売り出しを行います。
買い手候補が現れたら内覧をしてもらい、購入希望者が現れた場合には価格交渉を行います。売買の条件が整ったら、抵当権者にその価格で問題ないか最終確認し、不動産売買契約を締結します。
その際には、手付金の授受が行われることが多いです。購入希望者とはなるべく高値で売却できるように交渉することが大切です。

④売買決済を行う

最後に決済日に残代金の支払いを受け、抵当権者への支払いを行います。その際には抵当権を抹消し、購入者に所有権を移転し引き渡しを行います。
なお、抵当権者に支払われた売買代金は通常、ローンの返済に充てられます。

法人での任意売却を成功させるポイント

法人の任意売却を上手く行うには、以下のポイントを押さえることが重要です。

できるだけ早く相談する

任意売却は、滞納が始まってから可能な限り早い段階で債権者に相談することが大切です。相談しないまま滞納し続け、3~6回分ほどの滞納期間(3か月~半年)を過ぎると利益損失通知が届き、競売が現実的なものとなります。

前述の通り、競売までに売却を完了する必要があるため、早めに行動することで売却活動の時間の確保につながります。時間的な余裕が生まれることで、債権者との交渉の余地が広がり、より良い条件で売却できる可能性が高まります。

経験と実績が豊富な不動産会社に依頼する

任意売却は交渉を上手く進め、なるべく高い価格で売る必要があるため、交渉のノウハウや独自の販売網などを持つ、経験と実績が豊富な不動産会社に依頼することがおすすめです。経験や実績が豊富な会社に相談することで、任意売却の手続きを円滑に進めることができ、債権者との交渉や適切な売却価格の設定など、さまざまな面でサポートしてくれる可能性が高くなります。

法人の任意売却はZEUS INBESTにご相談ください

法人の任意売却は競売に比べ売却価格が高く、引越しや明け渡しまでの時間を確保できるなど多くのメリットがあります。そのため、経営が行き詰まり不動産を手放さざるを得なくなった法人にとっては、大きな救いの手となる可能性があります。
ただし、債権者や買い手等としっかりと交渉し、かつ債権者の同意を得なければならないなどハードルもあります。交渉を有利に進めるためには、経験や実績豊富な不動産会社を選択することが大切です。

「ZEUS INBEST」は、建設ベースの不動産ならではのノウハウで確実な不動産売却と、高価売却をサポートできるサービスです。工場・倉庫の取り扱いに強みがあり、物件売却を確実に実現するためのサポートをいたします。長年建設業で培ってきたネットワークを活かし、大手企業を中心に多くの買い手顧客を保有していることや、物件価値を高めるための独自ノウハウを持っていることも強みです。

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このコラムを書いたライター

編集者
正和工業マーケティングチーム
正和工業は、20,000件以上の施工実績を持つ総合建築企業です。
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