事業用定期借地権とは?
契約期間やメリット・デメリットを解説

2024.12.10
土地を有効活用する方法の1つに、事業用定期借地権による土地の貸し付けがあります。通常の借地権とは異なる特徴があるため、それらをよく理解したうえで事業用定期借地権を活用するか検討する必要があります。
本記事では、事業用定期借地権の概要や契約期間、メリット・デメリットを解説します。不動産売却を検討している方や、事業用定期借地権のメリット・デメリットを知りたい方はぜひお読みください。

事業用定期借地権とは

事業用定期借地権(事業用借地権)とは、事業用途での建物所有を目的とした定期借地権のことです。主にオフィスビルや店舗、工場、倉庫などを建設する際に適用され、借地借家法で定められている規制の一部が免除となる場合があります。

建物のうち一部でも居住用として利用される場合は、居住が主な目的でなくても事業用定期借地権を適用できなくなります。したがって、老人ホームのように事業に使用する建物であっても、利用者が居住している場合は適用の範囲外です。

借地権の詳細については以下の記事をご覧ください。

事業用定期借地権の契約期間

事業用定期借地権の期間は10年以上30年未満か、30年以上50年未満です。30年以上50年未満の場合は契約更新も可能です。30年未満か30年以上かによって、免除される規制の内容が変わります。
なお、存続期間が50年を超えると通常の借地権、または一般定期借地権が適用されることになります。

事業用定期借地権のメリット

事業用定期借地権のメリットには以下の3つがあります。

比較的高価な地代を得られる

居住用として貸し出す場合よりも、事業用として貸し出す場合の方が地代を高く設定できる傾向があります。これは、借地人が企業であり、その収益性に応じて地代を設定できるためです。
特に、商業地や工業地として利用価値の高い土地では、居住用途に比べてより高額な地代を得られる可能性が高くなります。

相続税を軽減できる

事業用定期借地権が設定された土地は、契約の残存期間に応じて相続税評価額が減額されます。これにより、相続税の軽減効果が期待できます。具体的な減額率は以下の通りです。

15年を超える残存期間:20%
10年超15年以下の残存期間:15%
5年超10年以下の残存期間:10%
5年以下の残存期間:5%

例えば、相続税評価額が1億円の土地を40年間の事業用借地権で貸し出し、15年経過後に相続が発生した場合、2,000万円(1億円×20%)の評価額減が認められます。

建物への投資が必要ない

事業用定期借地権では、土地所有者は土地を貸し出すだけで良いため、建物を建築するための投資が不要です。建物の設計、建築、そして将来のメンテナンスはすべて借地人が行います。これにより、土地所有者は建物建築に伴う初期費用や維持管理費の負担を回避しつつ、地代収入を得られます。

また、契約期間満了時には借地人が更地にして返還する義務があるため、土地所有者は建物を解体する費用を負担する必要もありません。

事業用定期借地権のデメリット

一方で、事業用定期借地権には以下のデメリットもあります。

中途解約ができない

事業用定期借地権では、原則として貸主側からの中途解約はできません。これにより、以下のようなリスクが想定されます。

・土地所有者にとって、少なくとも10年以上の期間にわたって土地の使用が制限される。
・契約期間中に土地が必要になった場合でも、返還を求めることができない。
・社会経済情勢の変化に柔軟に対応できない可能性がある。

なお、特約を設ければ借主側から中途解約することはできます。その場合、違約金の支払いなどの条件を併せて定めることが一般的です。

借主の事業破綻リスクがある

借主である事業者が契約期間中に経営破綻してしまうリスクがあります。その場合、地代の支払いが滞るおそれや、建物が土地に残されたまま放置されるおそれがあります。建物が残ってしまっている場合、更地に戻す費用は貸主負担となるため注意が必要です。

公正証書での契約が必要

借地借家法第23条第3項にて、事業用定期借地権の契約は公正証書によって締結しなければならないと規定されています。公正証書とは公証人(公務員)が依頼を受けて作成し、法的事実を証明する公文書のことです。

公正証書は強い法的効力を持ちますが、作成のために役場に出向く必要があり時間と手間がかかるほか、証書作成に伴い費用が発生します。こうしたことから、契約締結のハードルを上げる要因となっています。

不動産売却はZEUS INBESTにご相談ください

事業用定期借地権による土地の貸し付けは、比較的高い地代を設定でき、節税対策になるなど多くのメリットがあり、土地所有者にとって魅力的な選択肢の1つです。特に、「土地は手元に残しておきたいが、相続税対策も講じたい」という場合に有効な手段でしょう。
一方で、ご紹介したようなデメリットもあるため、起きうるリスクを十分に理解し、対策を講じたうえで検討することが重要です。

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このコラムを書いたライター

編集者
正和工業マーケティングチーム
正和工業は、20,000件以上の施工実績を持つ総合建築企業です。
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